ジョンマルコビッチ総統

千年女優のジョンマルコビッチ総統のレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.6
今敏監督の最高傑作は本作であると確信している。
虚構と現実の重ね方、千変万化な映像美。
千代子の走り抜けるシーンの中で最も印象的なのが、鞍馬天狗から流れるように続くシーンである。
幕末の動乱から明治開闢、文明開花の東京の街から富国強兵日清日露の隊列まで当世風の本来まったくの2Dである浮世絵を驚くべきイマジネーションで生き生きとしたアニメーションに落とし込み、それらを背景に走る少女千代子の、女優として時代を駆け抜ける生き様と重ねて演出している。
まさにこの映画の白眉はこのシーンではないだろうか。

紡がれる情報は絶妙に過不足なく、心地よく視聴者にフックを残し委ねられる配分で、なめらかな人間の動きや表情、人物たちのドラマは洗練されている。
魅力的な映像、斬新な演出、ドラマ、もちろん忘れてはならない平沢進の音楽。

全てにおいてハイクオリティな日本アニメ史に残る傑作。