武智麻呂

千年女優の武智麻呂のネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

凄いものを観たという圧で、しばらく現実世界に戻って来れないような、地に足がついていないような感覚になってしまった。天才とはこういうことなんだろうな。
幕末の太夫から明治の華族から大正の女学生まで絵巻物のように一続きで走り抜ける場面が、こうやっていつの時代も″今″を必死で生きてきた市井の人たちの物語の地続きに今の私たちがいることの比喩のように思えて、思わず感極まって泣いてしまった。もっとも、走っているのは藤原千代子というただ一人の女優であるし、そうした意図を込めた場面ではないのかもしれないが。けれども、その姿に各時代の人たちの生き様を重ねて見てしまう程に、藤原千代子が稀代の大女優であったという説得力が私の中で勝手に増してしまった。
劇場の大音響で幕引きに鳴るLOTUSもあまりにも良くて、帰宅してからずっと余韻に浸りながら平沢進を聴いている。
武智麻呂

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