うかりシネマ

千年女優のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2回目、劇場鑑賞。
戦前から活躍した女優・藤原千代子の半生を語るインタビューをアニメーションで描く。

語りはいつの間にか目の前に顕現して、取材する二人も千代子の人生の中に登場する。千代子自身を撮り続けていると思っていたら、シームレスに千代子が出演した映画の世界に移行している。果ては取材班の一人・源也までもが千代子の映画の登場人物に扮し、虚実入り混じる世界に介入していく。

千代子が女優になった頃、追われる男を匿い“一番大切なものを開ける鍵”を預かるが、故郷に招くという約束をしたまま男と離ればなれになってしまう。
現実の千代子は“鍵の君”を探し、映画撮影のロケも利用して、走る。映画の中の千代子も、作中のそれぞれの理由で走る。
「走る」という動きが反復され、そのたびに主旋律の共通する劇伴が流れ強調される。
虚と実もシームレスなら劇中劇と劇中劇の繋ぎ方もシームレスで、目くるめくように次々と別の映画に移り変わっていく。

アニメでしかできない表現で、疾走感を絶やすことなく文字どおり走り抜ける。
ただ一つ、“あの人に会いたい”という想いだけでどこまでも面白い。
最後の台詞は「生きる希望」とも梯子を外すとも読めるが、最後までカメラマン・井田が冷めた目線(メタ)を持っているのが示唆的。

鑑賞日:2024年2月1日(2回目)
鑑賞方法:映画館(2回目)