ハロルド・ピンター脚本の密室不条理劇、汚い下宿のキッチンから出てくる腹を下しそうな朝食、鬱陶しい女将さんのおしゃべりと、登場からすでに頭がおかしそうなロバート・ショウ。登場人物それぞれの言葉が一方通行で空中に漂い、全編にわたってピリピリした嫌な空気が蔓延する。全然楽しくない映画〜〜！

イギリスの作家ハロルド・ピンターの初期の傑作『誕生日パーティ』をウィリアム・フリードキンが映画化した作品。

ハロルド・ピンターがゴールドバーグとして出演している別の映像化作品も鑑賞しましたが、それは演劇のスタイルで撮影され、カメラは一方向に限られたものでした。
しかし、本作は様々な映像技法が使われており、演劇では味わえない編集や効果ショットが新鮮に感じました。この映像技法が、原作の不条理な世界観を引き立て、より高い芸術表現へと昇華しています。

ハロルド・ピンターの不条理劇。
2時間の長尺をある老夫婦が営む下宿屋を舞台に主人公のロバート・ショーを中心に物語は進む。下宿屋の女将さん（ダンディー・ニコルズ)の甲高い声には耳障りでしょうがないが、何か憎めないキャラクターで、自分はステラおばさんを思い浮かべて笑ってしまいました。ただでさえ精神に異常を来たしたショーが2人の来客(パトリック・マギー、シドニー・タフラー）が現れた事で、一層壊れて行く様子を描いている。噛み合わない会話、同じ言葉の繰り返し…観終わった後、はてさて、この映画は何を言いたかったのだろう？と、首を傾げるだけで、はっきり言って面白いかと問われたら？殆どの人が「つまらない」のひと言で済ます事でしょう。自分もその1人でしたから…ただ、俳優さん達の演技は光ってたし、ショーも見る限り自でやってる感が強く、その点は甘めに見て加点出来るが、じゃあこの映画が日本で公開されたら…早々と打ち切りになった事と思う。いや、何処の配給会社も手を上げなかったのだろう。
幾らウィリアム・フリードキンの作品だから面白いか？と言えば？？？ですね。
結構この監督コアな自己満足的な作品が多いのも納得出来ます。
不条理劇とはこう言うものなのか？と、接するには良い機会だったし、決して観賞したのが無駄な時間だとも思っていません。

VHSのみのリリースで、今となってはこの作品を観賞する事は、至難の業だと思います。