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八仙飯店之人肉饅頭のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

八仙飯店之人肉饅頭(1993年製作の映画)
3.8
マカオの食堂・八仙飯店の従業員ウォン・チーハン(王志恆)(アンソニー・ウォン)は、店主からイカサマ麻雀で勝った金を取ろうとしたが断られ、店主の一家8人全員(内子供5人)を殺害し遺体を切断、さらにそれを肉饅の具にして客に食べさせていた。こうして、ウォンは店を乗っ取る形で店主となった。
その後ウォンは店を売ろうとするが、殺害した店主の同意書がないため、なかなか売れないままでいた。そんなある日、近隣の海岸で切断された人体の一部が発見された。発見時にはかなり腐敗が進んでいたために身元確認は難航していたが、なんとか指紋を採取し、辛うじて身元を特定できた。遺体の主は、殺害された店主の妻の母親であった。さらに殺害された店主の弟が、地元のマカオ警察に「兄一家が行方不明だから捜索してほしい」と手紙で何度も頼み込んでいた。そして刑事たちは早速八仙飯店に向かい、ウォンに事情を聞くが、ウォンはどうにか上手く切り抜ける。しかし、ウォンに対する刑事たちの疑いは一層強まる。
この一件の後、ウォンは中国本土への逃亡を図るが、フェリーの出航直前にマカオ警察によって逮捕される。刑事たちは取り調べで殴る蹴るの暴行をウォンに加えるが、ウォンは頑なに容疑を否認、さらに、自分が殴られた痕をマスコミの前に見せ付けたことで警察は強い非難を浴びる。
警察は店主の弟が服役している刑務所にウォンを収監させた。ウォンは同じ監房の中にいた他の複数の囚人たちから陰惨な暴行を受けた(囚人が囚人に暴行されても問題にならない)。こうすることで、警察はウォンに強引に自白させようとするが、ウォンは自殺未遂を図る。警察は最後の手段としてウォンに興奮剤を投与し、三日三晩眠らせずに無理やり自白に追い込んだことで、ようやくウォンは事件の全てを語った。その後、警察はウォンを起訴することを決定したが、ウォンは絶対に起訴はさせないと言い切る。そして最後は寝床の中で、空き缶のプルトップで自ら手首を切り命を絶った。こうして凄惨な八仙飯店の事件は幕を閉じた。
プロデューサーで俳優のダニー・リーは、「羊たちの沈黙」の大ヒットから、実際に起きた猟奇殺人事件を元にした実録猟奇事件映画を撮ることを考えた。この作品は、実録猟奇事件映画第2弾。アンソニー・ウォンが演じたウォンは罪悪感もなく邪魔者を殺し、死体をミンチにしてチャーシュー饅頭の具にする鬼畜。ウォンのいかさま麻雀をバラシた従業員や刑事に自分のことを話した女性店員を、割りばしなどで殺し、死体を解体してミンチにする過程をきっちり描かれているのが、グロくて恐ろしい。中でも恐ろしいのが、ウォンが警察に自分の犯行を自白するシーンでの、店のオーナー一家を皆殺しにする過程で、ウォンが一家の血を浴びて鬼になっていくのが、まさにトラウマもの。マカオの警察も、ウォンに興奮剤を注射して自白を迫るなど鬼畜ぶりで負けていない。アンソニー・ウォンが、怪優としてブレイクするきっかけになったカルトホラー映画。
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