巴

ジェシー・ジェームズの暗殺の巴のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

息詰まる心理ドラマ。猜疑と恐怖と打算の中で会話する登場人物のやり取りの緊迫感が苦しくて、早くジェシーが暗殺される場面を見届けて、楽になりたいと願いながら見た。それでも、次にどんな行動をとるかわからない、ブラッド・ピット演じるジェシーの危うさ、悲しい目つきに囚われて目が離せない。

ジェシーが暗殺されたあと、その死体は氷漬けにされて見せ物にされ、死体を写した写真は飛ぶように売れ、実際の暗殺者ふたりが、殺すシーンを再現する演劇は800回も上演される。その状況のグロテスクさに唖然としてしまう。これが名声なのかと。そしてその名声が欲しいばかりにジェシーを暗殺したボブ・フォードの惨めで皮肉な末路に、寒々しい哀れさを感じた。

ジェシー暗殺劇を演じるボブが、客席に野次られて激昂し、客席に降りて乱闘する姿を、舞台の上から、ジェシーを演じるチャーリー・フォードが眺める場面。ジェシーに似過ぎていて、ものすごく怖い。俳優陣の演技は皆素晴らしく見応えがあったけれど、私はチャーリーを演じたサム・ロックウェルに一票。
巴