のわ

チャーリーとチョコレート工場ののわのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

この映画のいろんな方のレビューを読ませていただく中で「狂気的で良い」と書く方が結構見られた。僕は決まって困惑する。それは僕自身、本作を見て「狂気的だな」なんて思ったことは一度もない。しかし、「映画は対義関係によって成り立っている」と教えていただいた時にようやく府に落ちた。

ミルクをたっぷり含んだ甘い雰囲気のなかで、子供たちが残酷に罰されていくビターな味わいが存在していた。児童期の僕には到底理解できるはずもなく、「なんだが面白い映画だな」と感じつつ小学校6年の時に「ちょっと怖いかも」と思ったことを鮮明に覚えている。

裕福な4人の子供たちの中に混ざる少し貧しいチャーリー(フレディ・ハイモア)。
しかし、僕のなかでは貧しさを抱えているのはチャーリーではなく裕福な子供たちのほうだった。金銭的な貧しさは必ずしも心も貧しくはしない。チャーリーがウォンカ(ジョニー・デップ)から、流れるチョコレートを貰うシーン、チャーリーは無垢な笑顔を浮かべながら「おいしい!」とウォンカに伝える。裕福な四人たちは好き勝手チョコを頬張り、それがさも当然かのように振る舞う。どちらが貧しいかは言うまでもない。もちろん、どちらが優れているかの話ではなく、罰を受けた子供たちとご褒美を貰うチャーリーがなぜそのような結末になったのか。人間の魅力は外的なものではわからない。

チャーリーの笑顔の裏には金銭的な厳しさが、裕福な子供たちの傲慢の裏には金銭的な豊かさが存在している。「子供に罪はない」と言う人もいるだろうが、罪なき子供が罰せられるからウォンカの笑顔が「狂気」に満ち満ちていると感じるし、そんな苦味も中和するぐらい優しさに包まれているから本作は愛すべき作品なんだと思う。
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