実はこの監督の『銃撃』よりも本作の方が出来が良かったりする。脚本は主演ジャック・ニコルソン本人が担当している。
とある一軒家に立て篭もるならず者達のアイロニカルな描写が、B級西部劇ならではの味わい。タランティーノ辺りがパクりそうな雰囲気も漂う。
追うものと追われる者…というプロット自体が典型的な西部劇のフォーマットなのだが、何か異物感を感じさせる知性派モンテ・ヘルマン監督らしい批評精神の活きた快作でもある。
紅一点のミリー・パーキンスが割と美しく撮られているのも良かった。やはり当時のアメリカの社会状況がダブって見える。全体的に陰気なムードで、モンテ・ヘルマン作品中では『断絶』と双璧を成す諦念と苦渋に満ちた作。