ブレッソン作品の中でもとっつきにくさは上位クラスに位置する本作は、アーサー王伝説のイメージにつきまとうファンタジーさは皆無で、ブレッソンらしい徹底的なリアリズムで描かれている。
テーマである中世の騎士道精神という概念がそもそもわかりにくい上に、甲冑を着ている登場人物が多く、判別しづらい。
加えて、スペクタクルな合戦シーンなどはもちろくなく、淡々とひた進む。
しかしながら、「ラルジャン」などに通じる闇堕ちといった共通点もみられる。
特筆すべきはその音響設計で、鬱蒼とした森、馬の足音、剣と鎧の衝突音などサウンド総てにおいて拘り抜かれた静寂感は荘厳に仕上がっている。
20年越しに実現した切望していた企画は、ブレッソンのフィルムグラフィー唯一の時代劇として、他の作品同様美しさに満ちている。
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