悪魔とはなんなのか。小さいおじさんが悪魔として登場し動き回っているが、神出鬼没。情緒不安定。これは自分自身が作り出したものなのか。
元の場所に戻ろうとする自分と、悪魔の囁きにより殺人を繰り返す自分。
このズラウスキー特有の分裂症的な文脈と、最後にはアイデンティティの消失、としての殉教。
ポーランドの分割と消滅を思わせる構造は深淵のようで、しかしあまりのハイテンションさに狂ってるのはズラウスキーの方なのではないか、という気にもなってくるので面白い。
一回見ただけでは難しいが、後の『ポゼッション』に繋がる狂気、善と悪の二元論、ズラウスキー初期作はやはり刺激的。