この作品を観ているうちにもしかしたら当時のインド人観客たちは笑いを越えて空恐ろしさを感じていたのではないか、と思えてきました グル・ダット「55年夫婦」
Filmarksの参加者なら恐らくご存知のグル・ダットという名前。
私はその名を初めて知ったのはご存知蓮實重彦の名著「映画に目が眩んで」(中央公論社)の中の一節でした。
発売当時に購入したからかれこれ25年ほど前であります。
彼の「渇き」を紹介する論文はまだ観ぬ観客の一人のワタシを筆舌に尽くしがたいほど誘惑してくれました。
この蓮實先生をしてここまで言わしめるグル・ダットとは何者か?
そしてついに今年あるきっかけで知己となりえた友人からその「渇き」「紙の花」そしてこの「55年夫婦」のdvdをお借りできる機会を得て鑑賞が実現できた次第であります。
内容は予想通りどころか予想以上のすばらしさ。
打算的結婚後に本当の意味で結ばれるという似たような題材のピーター・ウィアーの「グリーン・カード」などを公開当時案外楽しんで観ていた他ならぬ自分自身を「情けなしや」と自嘲し、興奮を抑えきれずに取り乱している私をFilmark参加の皆様に笑い飛ばして頂きたくサイトを開きました。
「渇き」と「紙の花」はまだこれからです。