映画漬廃人伊波興一

たそがれ酒場の映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

たそがれ酒場(1955年製作の映画)
4.6
日本映画というよりも今後未来の世界映画史にも聖痕を残しえる掛け値なしの傑作だと云っても決して過褒ではありません。

理想と現実、決断と逡巡、邁進と諦観の境目を、これ以上あり得ないという繊細さと太々しい企てにおいて自在に往還する94分です。

何より脅威的なのは舞台はタイトル通りの(酒場)のみ。
そして劇中時間と現実の進行時間がほとんど一緒だという点。
信じられます?

余談ですがあの宮崎駿監督も心酔してます。
なるほど宮崎作品の中に去来していた人物ひとりひとりの原型が、この映画の中にある気がしてきました。