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REC:レック/ザ・クアランティンの消費者のレビュー・感想・評価

3.3
・ジャンル
POVホラー/ゾンビ/ファウンドフッテージ

・あらすじ
テレビ番組の取材で消防隊の密着取材にやって来たリポーターのアンジェラとカメラマンのスコット
案内を担当する2人の隊員とも打ち解け、撮影は和やかに進んでいった
出動指令が出るその時までは…
現場に到着して間も無く暴走を始める病人と思しき住人の老女
彼女は消防士と警官の2人に噛み付き重傷を負わせてしまう
更に治療の為、彼らを搬送しようとしたその時に新たな問題が発生
アパートは警察の手で完全に封鎖されていたのだ…
やがて老女の見せた症状は噛み付かれた2人にも現れ、奇病の感染は凄まじい勢いで広がっていく
果たして何が起こり何故アパートは封鎖されたのか?
そして奇病の正体とは?
中で起こっている事を報道する使命を果たそうとアンジェラとスコットは撮影を続行していくのだが…

・感想
POVブームの火付け役となった一作にして圧倒的知名度を誇るスペイン製作のゾンビ映画「レック」
本作はそのハリウッドリメイク版となっている

基本的に物語、設定、展開などはほぼ原作そのまま
違っている部分はいくつかあるけど、まず分かりやすい点としてカメラの動きがクライマックスに至るまでは比較的大人しいという事がある
画面酔いしやすい人にとっては原作よりも観やすいと感じるだろうけど個人的には原作の終始激しい映像と同時に緻密に作り込まれた世界観が好きだったのでやや物足りなさを感じた
映像の面で言うと他にもゴア描写も少しマイルドになっていた印象
消防隊員フレッチャーの脚が砕け骨の露出している場面などはちゃんとグロかったけど他は大体流血がある程度なのでこちらも同様に物足りなかった

弱くなっていた点はそれだけではない
原作では住人達、消防士、警官、撮影クルーとそれぞれ異なる立場の人々がパニックによって疑心暗鬼に陥り衝突する様がかなりしっかりと描かれていた
それに対し本作では一応同じ流れはあるものの内容がソフト
特にそう感じたのがアフリカ系の移民一家に感染の元凶ではないかと疑念が向けられるシーン
原作では日本人一家が生魚を食べるという食習慣や言語の違いなどについてかなり具体的な罵詈雑言を浴びせられていた
本作でも移民一家は非英語話者ではあるけどそこへの指摘も無く有りがちな差別の域を出ていなかった感じ
後に娘が感染者と判明する女性に関しても原作よりかなり穏便な人柄になっていてクズ感がやはり薄い

人物像に関する事だとアンジェラについても似た様な事が言える
原作のリポーター、アンヘラは撮れ高を優先しすぐ感情的になる女性だった
本作のアンジェラは出動前から人当たりが良いしアパートでも純粋に使命感から動いているだけで感情的になるのもクライマックスに差し掛かってから
この変化は些細に見えて大きいと思う
それは前述の住人達の違いも重ねて見ると原作で強調されていた非常時に人間が見せる醜さという物があまり感じられなくなってしまっている為

ただこれらに関してはまだ許容範囲の部類
最もダメだった改変は真相の変更
原作はゾンビパンデミックに悪魔憑きを絡めるという斬新なオチがかなり良い部分だった
本作ではそれが反キリスト教的とでも思ったのか陳腐な物に変わっていて非常につまらない
この改変がリメイクの必要性を失わせる決定打になっていた
しかも続編は原作シリーズと違い今作と繋がっていないっぽいのがまた酷い…

良かった点は本当に僅か
出動までの尺が短くスムーズに話が進む事
そしてカメラマンのスコットによるカメラでのゾンビ撲殺
これら以外は焼き直しで下位互換としか言いようがない
原作を観ていない人には楽しめるかもしれないけど原作視聴済みの人は観なくても良いと思う
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