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縞模様のパジャマの少年のma097のネタバレレビュー・内容・結末

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ホロコーストについて、ナチスドイツ側から描いた作品。

『子供時代とは、分別という暗い世界を知る前に音と匂いと自分の目で事物を確かめる時代である』
冒頭のこの引用が秀悦。まさに、ブルーノは軍人の父を持ち、何不自由ない生活をおくる純粋無垢な8歳の少年。そんな彼は、『ユダヤ人』という括りやその差別についてよく理解していない。
ブルーノの青い瞳はとても印象的で、その美しさ、曇りのない視線は収容所を農場、収容時に着させられる服はパジャマとして写す。
そんな彼の視点から描かれることによってホロコーストの醜悪さが引き立つ。

家庭教師は、物語は卒業して歴史を学べというけど、歪んだ歴史観を教えるばかりの大人に矛盾を感じる。

悲劇のラストは、『国を守るために必要』とし、ホロコーストに妥当性を持たせようとする父が、我が子をその手にかけてしまったとしても同じ気持ちでいられるのかという問いかけを感じた。

決して許されない、人類史上最大の過ちを後世に伝える作品。
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