ヴぇる

縞模様のパジャマの少年のヴぇるのレビュー・感想・評価

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
4.2
8歳の子供だからこそ捉えることのできる子供時代の形容しがたい恐怖感や不安、苛立ちや理解し難い不思議な現実。誰にでも一度は経験があるはすだ。そして、これを子供の目線から映し出す事に成功している。
誰にでも出来る事ではなく、シックな雰囲気で我々に語りかけるように映画として作り上げているのは驚きを隠せない。

子供の純粋な疑問を大人達は良かれと思って教える事をしない。これは簡単に怠慢等と結論付けられる訳もなく、非常に難しい問題だ。
加えて姉や家族も戦争という状況や成長期の気持ちの移ろいによって心が変化していくのは本当に面白い着眼点だと感じる。色んな視点からこの映画の捉え方を提供してくれている。

ストーリー自体は途中まで平坦なものだが、飽きさせない工夫はしているし、どう物語が推移して行くのか、何が起きるのか、また起きてしまうのか…ある意味で目が離せない。

ラストはショッキングだ。息切れや動悸が激しく喉はカラカラになるほどの衝撃だ。エンドロールは素晴らしいピアノ曲で放心状態の私に優しく寄り添ってくれていた。

総評としては、90分という短さでこれだけの物を作れた才能と原作は高評価にならざるを得ない。
私のホロコースト系の映画の中では「シンドラーのリスト」に次いで2位に躍り出た。
2019年にノミネートされたあんな映画とは雲泥の差で語り尽くせぬ程素晴らしい作品だ。
ヴぇる

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