ステンレスの針金を脳に差し込むロボトミー試作、ロニーコックスは2本、クリストファーウォーケンは1本、研究の進歩なのか。スイッチボタンもリニューアルしていく。ラストの直前まで意思の確かさをみせるウォーケンに対して、ロニーコックスのあまりにも不安定な人格、どちらも繊細すぎる演技に感動する。ふたりとも素晴らしい。大佐も博士も看護師も赤十字の女もそれぞれに病んでおり、最後まで隙なく精神を逆撫でする演出。洒落にならないくらい胸がムカムカする。エンディングでてくるラスト、雑にペタッと画面に貼り付けられるお猿のロボトミー表紙のNewsweekまできっちり厭な感じ。

戦争で頭のおかしくなった兵士を抑制させるために脳をいじくるマッドサイエンティストありきのキチガイ収容所。その実験に抗い続けたクリストファー・ウォーケンも最後には脳に金属を埋められ電気を流され、個性も感情も切り取られた「立派」な兵士（廃人）として現役に復帰する。若すぎるウォーケンの様々な顔、芝居が見られてはじめからとんでもなく上手い役者だということはわかる。寝たきりでうめき声しか出せない兵士や脳を刺激する電気の依存症になった（ヤク中なみの）兵士など実験に失敗した成れの果てが悲惨すぎて、特別面白くもないのにただただ嫌な映画を見てしまったと暗い気持ち。

地味なほとんど密室劇だがクリストファーウォーケンの演技が凄い