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遊侠列伝のmhのレビュー・感想・評価

遊侠列伝(1970年製作の映画)
5.0
高市回りのテキ屋にフォーカスした任侠もの。
敵側の親分がクズなのはもちろん、兄弟分もクズなら、主人公までもがクズという珍しい作品。

尊敬すべきアウトローばかりスクリーンで見せられてきた観客にとって、
アルコホリックでギャンブル弱い健さんは刺激が強かったんじゃないかと思う。
汽車の中、足をけられて、子どもの前にも構わずぶちぎれる健さん。足を蹴ったのが学生さんと分かると途端にへりくだるのも、すごいプロットだと思う。
よくしゃべる健さんの気味の悪さがハマってしまってて、学がないことを卑下自慢するような、怖いひとになってるあたりは皮肉だけど見事。
脚本家のひとはなにか恨みでもあるのだろうか。
テキ屋のバイを、「詐欺」と言い切ったことにも驚いた。
いや、そりゃまぁそうなんけどもね。
弁が立って押し出しが効く。でも、無学で短気で、その日暮らしの根無し草。
リアルな渡世人ってのはこんなひとたちだったのかもしれない。

ほか、神社の境内で輪になって順番に仁義切るシーンがある。
高市の間、一緒にバイするテキ屋たちの名刺交換って感じだろうか。
(その後に見た「関東テキヤ一家」にも仁義の円陣出てきたので、その界隈では当たり前のことなのかもしれない)
名作!
mh

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