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少年時代のprmlscrmynのネタバレレビュー・内容・結末

少年時代(1990年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

東京から疎開したシンジのもとにやってくる、5年男組の級長タケシ。成績優秀で下の子の面倒を見、大人からは優等生にみえているようだが、番長的な存在で気に入らないことがあると殴ったり無視したり。一方で、時折シンジを訪ねては親しく話したりと、複雑な役。表情があまり変わらない子で、それがいい効果を生んでいる。
途中で病気から復帰した元副級長の指揮のもと下剋上が実行され、タケシは一転いじめられることに。暴行されて足を引きずりながら登校するシーンが何とも悲しい。本人も色々悪いことやってるから自業自得ではあるのだけど…。
戦争が終わり、東京から母親が迎えに来るが、当然色々あったことは知らず。子供の世界の複雑さを、当時の雰囲気を含めてうまく表現されている。男組という濃厚な男社会を作り出す設定も効果的。
シンジとタケシ以外もいいキャラが多く、同時期に大阪から疎開してきた女の子、シンジに話しをせがむフトッチョのフトシ、金持ちでインテリの副級長。
戦争の描き方も控えめながら秀逸。フトシの姉の恋人の出征を見送った同じ駅、軍歌を歌ってシンジを見送る子供たちとそれを制止する駅員。おじさんが「これしか知らん」と続けさせるやりとりは、短期間での転向を浮き彫りにする。
タケシが走って追いかけてくるシーンで井上陽水のテーマソングが重なると、落涙必至。これからあの曲を聞くとき、トンネルの向こうのランニング姿がフラッシュバックするんだろうな。
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