消費者

ゴーストシップの消費者のレビュー・感想・評価

ゴーストシップ(2002年製作の映画)
3.4
・ジャンル
心霊ホラー/オカルト

・あらすじ
大仕事を終え酒を酌み交わしていたサルベージ船の一行に空軍パイロットだという人物ジャックから舞い込んだとある依頼
それは彼が天候調査中に見つけたという大型の船を引き上げるという物だった
お宝を求め引き受ける事を決める船員達
現物を見た船長マーフィーは驚きを隠せなかった
漂流船と化したそれは‘62年に忽然と消息を絶った伝説の船だったのだ
40年という時間の経過によって船内は激しく劣化していたがそれ以上に異様で不可解な事があった
600人余りいた乗客も500人の船員も誰1人としてそこに姿がなく、クルーの紅一点エップスは少女の霊を目撃
不気味な物を感じながらも彼らが調査を続けていくと更に全員を驚かせる物が発見される
まだ新しい数人の遺体と無数の金塊だ
莫大な価値のある金塊のみを持ち帰り船を後にしようとする一行
しかし間も無く事故や惨劇が多発し始め…

・感想
霊の巣窟となった伝説の漂流船を舞台に数々の怪奇現象がサルベージ船のクルーを襲う様を描いた心霊ホラー作品
序盤の殺戮シーンが強烈という事で気になり鑑賞

評判通り初っ端から起こる陰惨な大量死は確かに圧巻だった
しかしそれ以降は船で何が起きたのか?や霊達の望みや船に捕らわれている理由などの追求と金塊を持ち出す為の奮闘に尺を割き過ぎていて後半まで大した見所が無かったというのが正直な印象
サルベージ船のクルー達が連れてこられた理由や依頼主であるジャックの正体なども「そっち?」という感じで陳腐さが拭えない
どうせならもっと狂気と悲哀を前面に出して殺人描写にも力を入れて欲しかったかな…
航海士グリーアの殺され方は霊ならではの姑息なやり方で悪くなかったけどそれ以外はあっさりとし過ぎていたというか…
歌手フランチェスカの変貌とかももっとじっくり気持ち悪く描けたと思うし…
加えて唯一クルー(というかエップス)の味方であった善良な少女ケイティの霊も悲劇性や信じて良い存在か否かなど揺さぶりに利用出来ただろうしなぁ…
漂流船の不気味さやら蛆缶詰のシーンとか良い部分も多々あっただけに仕上がりが全体的に中途半端なのが惜しかった

あと根本的に主人公エップスを含め船員の人物像がやや魅力に欠けていたのも残念
クルーの面々が第一の死者サントスの様に次々になっていればまだ楽しめたかも

船という閉鎖的環境を舞台にしたホラーと言えば13金の8作目が思い浮かぶけどあれくらいガンガン殺してくれても良かったのよ?という感じ
そうしないなら往年のJホラーの様にジメッとした世界観で攻めるか
何にせよパッとしない作品だった
時代を感じさせる劇伴と呪いの根源である大量死のシーンがかなり期待を持たせる感じだっただけに拍子抜け感が否めない
消費者

消費者