人は罪を赦されるのか?
隠れた名作とはこの事である。
SF仕立てにも関わらず、あくまでもヒューマンドラマ。
地球と全く同じ惑星が大接近を始めた夜。
前途有望な学者の卵の主人公はその惑星を見つめるあまり、脇見運転で事故を起こし、相手方の家族を父親を残し全員死なせてしまう。
服役したのち、将来を失った主人公は清掃員となる。
そして自分が殺めてしまった家族の父親に謝罪に向かい、会うものの自分の正体を明かせず、その家の通い清掃員となり奇妙な生活が始まる。
謝罪ができないもどかしさと、自分が家族を殺めた相手と親しくなり幸せになりかける後ろめたさが、ひしひしと伝わり苦しくなる。
失ったはずの将来の展望が儚くも開けてしまう葛藤。
そして心抉る衝撃的ラスト。
けして単なるヒューマンドラマにすることなく、しっかりSF要素と絡めている事、それがとてつもなくしっくり融合していることに目をみはる作品。