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フリスコ・キッドの一人旅のレビュー・感想・評価

フリスコ・キッド(1979年製作の映画)
5.0
ロバート・アルドリッチ監督作。

『特攻大作戦』(1967)、『ロンゲスト・ヤード』(1974)、『合衆国最後の日』(1977)、『カリフォルニア・ドールズ』(1981)など数多くの傑作を世に遺した名匠:ロバート・アルドリッチがキャリアの晩年に撮った作品で、ジーン・ワイルダー&ハリソン・フォードが凸凹コンビを好演します。

1850年、ゴールドラッシュに沸くアメリカを舞台に、とある目的のためポーランドから東海岸に到着したユダヤ人宣教師のアブラムと無法者のアメリカ人トミーが目的地のサンフランシスコを目指すという“アメリカ横断珍道中”で、ひょんなことからコンビを組むこととなったユダヤ人ラビと無法者アメリカ人の凸凹コンビが織りなすウエスタンコメディの痛快作となっています。

原住民に捕縛されたり、賞金稼ぎに追跡されたり、追いはぎ一味と対決したり、乗り慣れない馬で川に転落したり…と、ユダヤの教えに従順で頑固者のラビと奔放な野生児である無法者のドタバタ珍道中がユーモラスに活写された愉しい作品となっていて、安息日(=土曜日)は必ず休むというユダヤの教えから、たとえ追手に追われていても急いで逃げようとはしないラビの悠長な構えとそれに翻弄される無法者のやりとりは爆笑必至であります。また、“ユダヤ式”と“アメリカ式”という対照的な両者が織りなす異文化交流&理解と友情の芽生えが爽快な余韻を残してくれる作品でもあります。

主演のジーン・ワイルダーとハリソン・フォードの化学反応が愉しい痛快作で、アルドリッチが亡くなる4年前に撮ったキャリア最期の西部劇です。
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