東映実録もの、深作作品の中でも特にカルト的人気があるという本作
確かに、渡哲也自身が病み上がりであったということもあり、他の東映俳優のような、生命力、精力、オス力あふれるバイタリティを感じるものではなく、一種異様な、後の黒沢清作品のような不気味さも感じる
物欲、性欲や権力欲、あるいは人情や恨みといった人間関係もなく、ただ自身も他者も破壊していく描写の中に、主演渡哲也の心情も語られず意図も図れないのはおそらく意図的なもので、底知れぬ怖さを感じる
演出のパワフルさと異様な冷たさのバランスは、当時の東映にしか撮れないかもしれない