椎蕈

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦の椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

クレしんの中で唯一実写映画も作られた異例の作品。
オトナ帝国の影に隠れてるけどこの作品もかなりの完成度だったと思うし、クレしんの中で1番好き。
無駄のないストーリー構成で、殺陣シーンも迫力のある作画で、表情やちょっとした動作で表す心理描写もあって、現代の物が戦国時代に来たらどうなるかという細かい描写も良かった。

勝つ見込みがない戦に臆すことなく行く春日軍はカッコ良かったし、お世話になった又兵衛を助ける為にひろしが車で加勢するところもカッコ良かった。
前のシーンで、ひろしとみさえは春日軍と大蔵井軍の圧倒的戦力差に絶望してたのに、戦う覚悟を決めたのが尚更良かった。

この映画で1番好きなところは、ひろしがボディブレードを刀と間違えてしまうシーンをただのギャグシーンで終わらせなかったところ。
ボディブレードをブンブン振り回して威嚇する面白シーンでも成り立つのに、残された刀を使ってみさえがしんのすけを助けるシーンに繋げるのが秀逸過ぎた。
もしひろしが普通に刀を取っていたならしんのすけもみさえも斬られてただろうし、ボディブレードじゃなければ相手が警戒せずにひろしも斬られてたかもしれない。
ただのギャグで終わらせないのが流石だと思った。

又兵衛が死ぬのは衝撃的だし辛い。
春日軍の兵は誰も鉄砲を使ってなかったし、又兵衛が撃たれた時の音は序盤に出てくる鉄砲の音とは全く違う重い音だったから、歴史の収束だと解釈してる。
又兵衛が死ぬ間際は涙を堪えてたけど、死んでしまってから号泣するしんのすけは何度見ても泣いてしまうし、最後に又兵衛の旗みたいな雲を見て、廉姫と野原一家が青空を見るラストシーンも綺麗過ぎる。
クレしんでは数少ないビターエンドの映画。

最後に又兵衛が死んでしまうラストにしたから、監督は周りから猛反対されていたらしいけど、臼井先生に相談したら「このままのラストで行こう」って背中を押された逸話も含めて大好きな作品。
あのラストにしたからこそ、余韻が凄かったし、綺麗事だけで終わらせないところが作品として面白かった。
クレしん映画の最高傑作を聞かれたらオトナ帝国と答えるけど、どれが好きか聞かれたら戦国大合戦と答える。
「クレしんで死人が」って言う人もたくさん見かけるけど、原作のまつざか先生と徳郎さんのストーリーを見てから言ってほしい。
椎蕈

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