一人旅

女子大生・恐怖のサイクリングバカンスの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ロバート・フュースト監督作。

フランスの田舎町を自転車で女子旅中のジェーンとキャシーが、謎の強姦殺人犯に命を狙われる姿を描いたスリラー。

久しぶりに“ガチ”で発掘したようだ。本作には副題付きで『女子大生・恐怖のサイクリングバカンス ~美少女(ロリータ)サスペンス~』という別タイトルが存在する。女子大生で、美少女で、ロリータ...?何だかわけのわからないことになっていますが...。確かに二人の女の子は登場するが、二人が女子大生だと分かるセリフなどはない。「今頃、病院は朝の回診の時間よね。」と言ってるあたり、恐らく二人は看護師さんか何かではないかな?それで休暇を取ってイギリスからフランスにやってきたと。もちろんロリータではないし、残念ながら美少女でもない。何やらエッチっぽい邦題で釣ろうとしているようだが、わざわざそんなことしなくても本作は充分おもしろい。エロを売りにした邦題だが、具体的なエロ描写なんて劇中ほとんど存在しない(嘘つき!)。

本作は意外と完成度の高いスリラーで、旅の途中で喧嘩別れしてしまったことをきっかけに、離ればなれになった二人の女の子が強姦殺人犯に狙われていく姿を描く。ジャンル的にはスリラーだが、犯人捜しのミステリーとして楽しめるのが特徴で、犯人らしき複数の怪しい人物が劇中登場する。その怪しい人物の描き方というのが本当に絶妙で、鑑賞者に簡単に犯人を絞り込めないように良く工夫されている。たとえば、人物(1)に明らかに怪しい行動をさせたり、人物➁を意味深に一瞬だけ映したり、人物(3)の悪い噂を第三者から発言させたり。わざとらしいと言えばわざとらしい演出なのだが、それでもミステリー好きには嬉しい設計の作品で、あまりのフェイクの多さにすっかり騙されそうになる。

主人公・ジェーン(パメラ・フランクリン)の心理描写も抜群に秀逸で、失踪したキャシーを捜索するうち次第に疑心暗鬼になっていく姿が鬼気迫る。そして、畳みかけるようにして真犯人が判明していく終盤のクライマックスは圧巻の恐怖と緊張。犯人の手がジェーンのパツンパツンのお尻にじわりじわり伸びていくシーンに戦慄が走る。「犯人はお前だったのか!(しかもケツ派なんだ...あ、だからパンツを盗んだんだな!)」ジェーンと鑑賞者の心が最後に一致する瞬間だ。

それにしても死体役の人、本当に上手。生気のない目つきはもはやホラー映画の領域(劇中一番の名演?)。でも首の頸動脈はピクンピクン動いてましたよ!
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