りっく

赤死病の仮面のりっくのレビュー・感想・評価

赤死病の仮面(1964年製作の映画)
3.7
撮影監督のニコラス・ローグによる赤を強調した映像美が印象的だが、ロジャー・コーマンの原作解釈が怪奇映画の枠組みを超えた前衛的なレベルにまで作品の完成度を押し上げている。

神の喪失というイングマール・ベルイマン作品とも共通する命題を抱えた男が、今度は悪魔に信仰の拠り所を求めるが、男が最も恐れた死は、神と悪魔という対立概念をも超越して否応なく彼の目の前に立ちはだかる。

善悪の二項対立で割り切れない人間の不安や葛藤を、クラシカルな外見を持つ怪奇映画にさえ紛れ込ませた一作。
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