工藤蘭丸

金環蝕の工藤蘭丸のレビュー・感想・評価

金環蝕(1975年製作の映画)
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これは政治ドラマの傑作でしたね。実際にあった汚職事件疑惑をモデルにした石川達三の小説を、山本薩夫監督が笑いを交えながら風刺的に描いたもので、豪華キャストの競演も見どころの作品でした。その中では、三國連太郎が一番印象に残っているかな。

今も自民党の裏金疑惑が問題になっているけど、本作の公開当時は今以上の政治スキャンダルで揺れ動いていて、この前年には田中角栄が金脈問題で首相を辞任し、この翌年にはロッキード事件が発覚して逮捕される事態にまでなったこともあって、本作の内容もすごくリアルに感じられたものでしたね。

私は日本映画のパンフレットは滅多に買わなかったけど、これは買っていたようで、その解説によると、「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている」政治の世界を、金環蝕に例えたのが題名の由来ということでした。