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『金環蝕』に投稿された感想・評価

ShinMakita

ShinMakitaの感想・評価

3.0
昭和39年。与党・民生党の総裁選が行われ、現職総理大臣・寺田と大派閥領袖・酒井が争った。実弾が飛び交い、何とか寺田が勝利を収めたが、そこで活躍したのは寺田派の若手・星野代議士。彼は総裁選後の内閣改造で、官房長官の座に着くのだった。しかし資金不足補填の必要に迫られ、やむなく金融屋・石原の元に秘書・西尾を送り2億の闇融資を依頼してしまう。石原は無担保じゃ貸せないと断るが、星野にカネの匂いを感じとり、秘密裏に星野の周囲を探り始めるのだった。

同じ頃、電力開発会社総裁・財部は、何とか任期終了前に九州・福流川ダムの建設に着手しようと考えていた。日本でも最大規模のダムとなるため建設費は莫大だ。大手建設会社5社が入札に参加することになるが、そこで問題が発生する。財部の元に星野の使いである西尾が現れ、「建設は竹田建設にやらせなさい」と書かれた寺田総理の妻・峯子の名刺を差し出したのだ。財部は常識的な施工費を提示する青山組に決まるだろうと考えていたため、怒りに震えた。竹田建設専務・朝倉は莫大な献金を寺田派に流しており、特に星野には個人的に別荘・情婦・賄賂を送り届けているのだ。財部は不正に加担できないと反発するが、するとすぐさま通産大臣に呼び出され、任期終了前の辞任を言い渡されてしまった。後任総裁には関西電力会社の松尾が就任するが、この松尾は副総裁・若松と組んで朝倉からリベートを受け取る腹黒さを持っていたため、工作を弄して競争入札で竹田建設勝利を導いた。そして竹田建設・朝倉は勝利の礼を言いに官邸の星野を訪ね、5億の小切手を差し出した。小切手を受け取り破顔する星野だったが、そこに一本の電話が入る。かけてきたのは金融屋・石原だ。石原は星野と朝倉の癒着を綿密に調べあげ、しかも財部に渡された寺田総理夫人の名刺も入手、さらに朝倉から5億が渡ることまでも掴んでいた。石原の持つネタが世間に漏れたら、寺田政権は吹っ飛んでしまう。石原は俺を強請るつもりなのか?星野は訝しみながら石原に会いにいくのだが…




「金環蝕」




出てくる政財界の人間すべてが汚れているという凄まじいドラマ。前科持ちの胡散臭い金融屋・石原と三流新聞記者・古垣、2人に持ち上げられ予算委員会で寺田派と竹田建設の汚職を追及する神谷代議士というグレーな男たちが一応のヒーロー役なんですが、寺田派の強大な黒い力を前に虫のようにヒネリ潰されてしまいます。そのリアルさに戦慄すること必至。安倍政権の話に置き換えても成立しそうなストーリーですよ。名刺のクダリなんか、安倍昭恵の森友問題を彷彿とさせますしね。


監督は、山本薩夫。社会派とエンタメの融合では定評のある巨匠です。クールな星野を演じたのが仲代達矢で石原役は宇野重吉。神谷役は三國連太郎でした。他にも大物だらけです。オススメ!
◉現代社会に通じる汚職の構造


“まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている”


昭和39年5月の総裁選で、現総裁の寺田政臣(久米昭)が酒井和明(神田隆)を破り再選した。
この総裁選では両陣営で何十億という実弾が飛び交い、その後の金策に苦慮した官房長官の星野(仲代達矢)は金融王・石原参吉(宇野重吉)に、二億円の借金を申し入れたが、石原は申し出を断り、星野の周辺を調査させ始める。
星野は福竜川ダム建設工事を資金源として目を付ける。工事の見積もりを水増しして差額を政治資金にするためだ。
一方、電力会社総裁・財部(永井智雄)は、福竜川ダム建設工事の入札を自分の懇意の青山組に請負わせようとしていた。
青山組のライバルの竹田建設もこのダム建設の工事受注を狙っており、星野を通じて寺田首相夫人(京マチ子)から財部に「工事は、ぜひ竹田建設に」と書かれた寺田首相の名刺を手渡した。
その夜、財部は懇意の業界新聞記者・古垣(高橋悦史)を相手に酒の席で名刺の件を愚痴った。古垣は首相夫人の名刺をカメラにおさめた。
財部は任期を残して総裁を辞任。新総裁には寺田首相と懇意の松尾(内藤武敏)が就任し、工事入札は、計画通り竹田建設が落札。
竹田建設からは政治献金という名目で星野に5億円が渡された。
昭和39年10月、寺田首相が脳腫瘍で倒れ、後継首班に酒井和明が任命された。
ある日、石原は政界のマッチ・ポンプと呼ばれる神谷直吉代議士(三國連太郎)から福竜川ダム工事に関する不正を決算委員会で暴露するために石原メモの提供を依頼される。
しかし、決算委員会では出席した松尾電力会社総裁や財部前総裁はらは神谷の追及をかわした。
石原は、古垣に首相夫人の名刺の写真を新聞に載せるように言ったが、その夜、古垣は殺され、原稿と名刺写真のネガは持ち去られてしまう。
その後、石原参吉は逮捕され、神谷代議士は幹事長(中谷一郎)から2000万円を渡され外遊に出る。
昭和40年3月21日、死去した寺田前総理の葬儀が行なわれ、汚職は闇に葬られた。



九頭竜ダム建設に関わる汚職事件をモデルに社会派の山本薩夫監督が当時の演技派俳優を総動員して描いた傑作。

70年代の山本薩夫監督は「華麗なる一族」「金環食」「不毛地帯」と政治や財界の腐敗を描いた大作を連発しており、どの作品もエンターテイメントとしても一級の作品になっている。


この作品の恐ろしいのは50年近く前の作品にも関わらず現在の政治腐敗にも繋がっている内容ででしゃばりの総理夫人や関係者の謎の死などつい先日、どこかで聞いたような事件を思い起こさせ現代にも通じるテーマである。

この映画のモデルとなった九頭竜ダム汚職事件が東京オリンピックの1964年、そして2回目の東京オリンピックの2021年、オリンピック関連の贈賄事件や、コロナ関連のGO TO事業など、再び政治と金の問題がクローズアップされている。
事業が失敗すれば赤字、減給、解雇、左遷、あげくは倒産となる民間企業とは全く異なり、税金を使った事業は予算が無駄に大きく膨らんでも、あるいは事業が失敗しても誰の懐も痛まないので利権の温床になってしまう。(実際には国民全体の懐が痛むのだが)
そして政治家や役人の給料は減らず、汚職や賄賂でさらに懐が膨らんでいく。
何十年たっても変わらない政治と金の問題。


映画としての一番の見どころは重厚な演技派俳優たちの競演で、ダム建設に汚職と金の匂いを嗅ぎつけて調査、画策する高利貸しに宇野重吉が扮し、汚い歯並びにふんどし姿で下品な金融王を見事に演じている。これに対し時の政権の官房長官で汚職を隠蔽する側の中心人物を仲代達矢が演じ、こちらは対照的に上品で嫌味なエリートの切れ者でこの二人の対立を軸に様々な人物が絡む。
以下、主な登場人物はでしゃばり首相夫人-京マチ子、ダム建設汚職を追求する政界の爆弾男-三國連太郎、汚職事件を記事にして最後は殺される新聞記者-高橋悦史、ダム建設を落札する建設会社の専務-西村晃、首相-久米明(池田勇人がモデルで外見も似ている)、後継首相-神田隆(佐藤栄作がモデルでこちらもそっくり)、通産大臣-北村和夫、法務大臣-大滝秀治、幹事長-中谷一郎(田中角栄がモデル)、謎の死を遂げる内閣秘書官-山本學、検事総長-加藤嘉、電力開発前総裁-永井智雄、電力開発新総裁-内藤武敏、電力開発副総裁-神山繁、電力開発理事-根上淳、他に新聞記者の弟-峰岸徹、新聞記者の愛人-夏純子、大手新聞記者-前田武彦・鈴木瑞穂、金融王の妾-中村玉緒、官房長官の女-大楠道代などいずれも実力派の豪華キャスト。
これでもし小沢栄太郎、佐藤慶、滝沢修、中村伸郎、岡田英次が出演していれば重厚演技派勢ぞろいとなる。

なかでも印象に残ったのは外見も含めて徹底的な役作りの宇野重吉、土建屋丸出しでおかしな座敷芸まで披露する怪演の西村晃、出番は少ないながらも強烈な印象の京マチ子の3人。

お子様アイドルの学芸会に飽きた時に鑑賞をお勧めします。


ブルーレイで鑑賞
mh

mhの感想・評価

-
九頭竜川ダム汚職事件を題材にした石川達三の小説の映画化。
意識不明になった首相は池田勇人がモデルなど、現実にいる政治家をすべて仮名にして登場させているためあとでググるのがはかどるし面白い。
宇野重吉演じる金融王森脇将光や、のちに黒い霧事件で失脚することになる田中彰治を三國連太郎が演じてる。
仲代達矢が怪演している黒金泰美のその後もすごいね。
ストーリーは徹底したシニカリズムで、正義は存在せず、悪だけがはびこっている。
法務大臣、通産大臣が与党に与しているのはまあわかるとしても、大手ジャーナリストも抱え込まれてるのが、ほんと地獄だし、その状況がいまもつづているっていうことなんだね。
数か所ほどフリーズフレームがあったけど、当時のはやりに引っ張られたのかな。
山本薩夫にスタンダードサイズで映画撮らせているのがまじもったいないと思った。
オールスターキャストの政治劇という点でも大満足だった。
「小説吉田学校」といい、この手の大作はなんでかしらんけど、埋もれたままになっているよね。
面白かった。
やちお

やちおの感想・評価

3.6
ふぉぉぉむなくそ!

一段づつ丁寧に積み上げたジェンガを最後の最後でバッシャーーン!!!ってやられるようなやるせなさ。

汚職の疑獄は晴れなかったが、最終的に工事が完了すればそれはそれで国民目線だと良いのではないのかな。
まぁだからといって人殺したり投獄させんのはダメだよ。独裁政治やんけ。

三國連太郎がいい芝居してんのよ。もー欲望に忠実でね!かわいい!プライドないのか!そこもかわいい!

「政治家から金を取り上げたら肝心の政治がギクシャクしてうまくいかなくなるんだ」って台詞がグッとくるなぁ。
自民党における池田勇人と佐藤栄作の政争を背景に1965年に発覚した「九頭竜川ダム汚職事件」のてん末を、名前こそ変えているがほぼ実在の人物をモデルに映し出した政治ドラマ。

池田内閣の冷徹な官房長官に仲代達矢(茶白コンビのウィングチップ!)、政治家を強請るスキャンダルに目がない闇金王に宇野重吉、告発屋の与党議員を三國連太郎、寝技師のゼネコン役員に西村晃、新聞ゴロの高橋悦史などなど、昭和を代表する名優が権謀術数の限りを尽くす。

政争に絡み、業者に肩入れして名刺を差し入れる総理夫人と最近もどこかで聞いたような話が飛び交い、半世紀近く前の作品だが、なかなか新鮮に感じる。そう言えば、現職総理もこの池田派(宏池会)の保守本流出身である。日本政治の来し方を知るにもうってつけの一本。
オープニングはアガったし話自体も興味深かったが、白い巨塔と同様で、淡々としているが故に映画としての面白味が薄い。原作を大事にするが故なのかな。
映画としての面白さより、wikiでモデルになった実際の話や人物と見比べて「へ〜」となる観賞後の方が楽しかったような。
政界、財界内幕もの・・・どいつもこいつも“腐りきって”
1975年の古い作品でした・・・がぁ、ん? これって今(2022年)も“まんま”じゃないスか
ヒロキ

ヒロキの感想・評価

4.2
『金環蝕』を見た!😊

こういう政争ドラマみたいなの古くても新しくても好きだなー!😄

本当にあった汚職事件をモチーフにしてるみたいだけど😀

みんな、それぞれ個性とアクが強くて特に金融王のくっきーか??ってぐらいの入れ歯が気になっちゃったけど😂ww

最後まで、面白く見れた!☺️
歴史は繰り返す

どこぞの母なる月よろしく中までしっかりドス黒く腐ってらぁ
2回は見ないとちょっと分かりにくかった。じわじわ来ますね。宇野重吉のフガフガ演技が印象に残る。醜悪な政治家たち、男たちの面々が70年代的に戯画化されている。今の視点で見ると大袈裟でおかしみさえ感じる。しかし、それに抗う女たちが今なお妖艶に映る。
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