Yoshishun

ヒッチ・ハイカーのYoshishunのレビュー・感想・評価

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)
4.1
"ヒッチハイクを乗せただけなのに"

ルドガー・ハウアーがヒッチハイクキラーを演じた傑作『ヒッチャー』の元ネタ。初の女性監督による米フィルムノワールで、以降のヒッチハイク映画に多大なる影響を与えた。

『ヒッチャー』のヒッチハイカーとは違い、冒頭から殺人鬼マイヤーズの素性が明確で、冷酷な殺人鬼であるのがわかる。しかし当時の撮影方法や白黒映像が相まって、マイヤーズの残忍な犯行現場や車内の影を利用した顔面ドアップシーンが非常にクール。題材が題材だけに、如何にヒッチハイカーがヤバいヤツか把握できないと恐怖も半減しかねないが、本作のヒッチハイカーの描き方はかなり恐ろしく、ほぼ完璧といっていい。幼い頃から顔面麻痺により右目が半開きのままという設定も、闇夜でも逃げ場のない後半の逃走シーンで活きてくる。また、変に過去を語らず必要最小限に留めており、掴み所のない狂人としての魅力もある。劇中のライフル発砲シーンも自分が狙われないようにするという用意周到さが伺える。

オチが呆気なさすぎるのが残念だが、さすが多くの映画に影響を与えただけある。女性監督が撮ったとは思えない男臭さムンムンなヒッチハイカー映画だった。
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