このレビューはネタバレを含みます
日本向けにDVD化されていないので視聴のハードルが高そう……と思っていたらVideoMarketが配信してくれていた。ありがたい。
役者本人が若くてそういう雰囲気を醸し出していたのか、単に与えられた役がそうだったのか、初期のキリアン・マーフィは生意気そうな役が多かったなぁと思う。(『麦の穂をゆらす風』辺りから役の雰囲気が変わった気がする。) 本作で彼が演じるジョナサンも多分に漏れず生意気なティーンエイジャーだが、決して他人に迷惑かけることを楽しんでいるわけではなく、持て余した感情をどう消化すべきか悩み藻掻いているのが伝わってくるような役だ。
ジョナサンが救いに至る過程も良かったけれど、レイチェル(トリシア・ヴェッセイ)とトビー(ジョナサン・ジャクソン)も印象的。特にレイチェルが母親について語るシーンは彼女の瞳に吸い込まれそうで、あれだけ瞳が美しいと言われるキリアンを食ってしまう勢い。ジョナサンとトビーがレイチェルに惚れてしまう気持ちもよく分かる。
トビーについても、己の悲しみについて打ち明けながら流す涙が見どころ。彼の行く末は、分かりやすい伏線があったにもかかわらずとてもショックだった。車を盗む特技がこんなことになるなんて……。見終わった時にはrionos「空を飛びたいと」の歌詞が浮かんだ。