このレビューはネタバレを含みます
『ブレンダンとケルズの秘密』と比べてよくも悪くもストーリーにまとまりがあった。大人が子供を安全な場所に閉じ込めておこうとするのは相変わらず。本作は敵の姿がはっきりしている分、『ブレンダン〜』に比べるとやや恐怖感が薄かった。個人的は『ブレンダン〜』の方が刺さったけれど、cartoon saloonの作品を見たことのない人にまずおすすめするなら本作の方かもしれない。
ロビンの父が誰か殺してしまうのではないかとハラハラしたけれど、ウルフウォーカーはみんな無事で、護国卿も自ら落ちていったのでセーフか。メーヴのママが助かって本当に良かったし、彼女を救う魔法にロビンの父が参加できたことが救いだと思う。
一見すると「森を開拓したい人間 vs 自然を取り戻したい狼」みたいな構図に見えるけれど、メーヴの話を聞いているとママさえ帰ってくれば大人しく森から出ていくつもりだというし、実際そうなったようだから、その認識はあまり正しくない。どちらかといえばこれは「不自由な人間社会 vs 自由に生きる狼」の話だったと思う。
元々自由に生きていたロビンと父親は狼として生きる素質があったのかもしれない。脚本の意図を考えると、ロビンの父に噛まれた護国卿がウルフウォーカーにならずに死んでいったのは、彼にとっては秩序こそが全てで、自由に生きることのできない性格だったからではないだろうか。しかし、自由な生を拒否して死ぬことが彼にとっての自由であったようにも思える。