Bobsan

ステップフォード・ワイフのBobsanのレビュー・感想・評価

ステップフォード・ワイフ(1975年製作の映画)
5.0
原作のアイラ・レヴィンは「ローズマリーの赤ちゃん」でも悪魔崇拝者達に取り込まれていく若妻を主人公に描きましたが、本作でも同様のテーマをややSFチックに描きました。
個が多数に取り込まれてしまうテーマの作品は最近では「ドント・ウォーリー・ダーリン」などがありましたが、主にディストピアSFなどで扱われる事が多いですね。
現実世界でも学校や会社など何らかの組織に属していれば少なからず誰でも完全無欠に個でいる事は難しい事です。本作や他のディストピアSFなどはそれを戯画化し、最も肥大した形で見せてくれます。
本作が優れているのは、最初、キャサリン・ロス扮する主人公のジョアンナが夫の一存でNYから郊外の閑静な住宅街“ステップフォード"に引っ越す事を決めた事に不満を持っているように描いている事ですね。これによって、ジョアンナが遭遇する異常な出来事が、もしかしたら彼女の妄想なのではないかと我々観客に思わせる事ができます。
しかしそれがそうではなかったと判明する瞬間の、ジョアンナと同様のショックを我々も同時に感じる事ができます。
このあたりの演出の巧みさに息を呑む傑作ですね。
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