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北国の帝王の2秒前のレビュー・感想・評価

北国の帝王(1973年製作の映画)
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オールタイムベストの一本。
映画が始まる瞬間とはいつだろうと考える。上映が始まったからといって映画が始まるわけではない。いつまで経っても始まらない映画なんてごまんとある。
この映画では冒頭、無賃乗車をしようとしている名もなきホーボーを見つけたアーネスト・ボーグナインが即懐からハンマーを抜く。その瞬間否応なく映画が始まる。これからとんでもないものに立ち会うことになるのだと、理屈ではなく分からされるような、この感覚。
そしてこの映画、線路の上にしか世界がない。ボーグナインとリー・マーヴィンの戦いが賭けの対象になってアメリカ中に伝播していくスプリット・スクリーンの高揚感。そこでボーグナインとマーヴィンは職務や目的を超えた、己の全存在を賭けて戦うのだ。
今回見返して思ったが、この映画列車を舞台に物語が進むのに、そこまで“速く”ない。最近のノンストップ・アクションを売りにした映画とはまるで違う。よく立ち止まるのだ。余裕綽々に、そんなに焦っても仕方ないだろうと言うように。
あとこれも今回見返すまで忘れていたのだが、リー・マーヴィンが登場時鶏泥棒たちを鶏でぶん殴って撃退するので驚いた。イカれてる。
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