へちまびと

ベンジャミン・バトン 数奇な人生のへちまびとのレビュー・感想・評価

4.0
さくらももこは「そういうふうに出来ている」というエッセイの中で「もし人生というものの順序が逆だったらどうであろうか」という問いかけをしている。
大意は「ジジイとして生まれ賢く可愛い赤ん坊の姿で死ぬ。みんなやりきれない気持ちになって絶望するだろう」という内容だったが、まさにそれを映画化したのがこれ。
ただ、さくらももこは「絶望する」と(言うような内容で)書いていたが、作品のメッセージはそれとは異なる。
若返っていくベンジャミンと、普通に年を重ねるデイジーの人生がすれ違いつつも重なる様は切なくも美しい。
含蓄のある台詞がところどころで挟まれるのもいい。フィクションにしかできない真理を突く話をしっかり正面から作った作品。
時々見返したくなる。