とらねこ

八甲田山のとらねこのレビュー・感想・評価

八甲田山(1977年製作の映画)
1.0
以前見た時は、「冬の雪山恐るべし!保守派であるが真面目な山岳ディザスター映画。木村大作のリアリズムに徹した撮影は天晴!ちょっと退屈なのはご愛嬌。一度見るべし!」なんて再見してみたら、
全然違う感想になった。

210名中199名を無駄に死亡させた雪中行軍。
これを強行した陸軍上層部は愚かすぎだけれど、
この時期の冬の雪山では道が分からないだろうと、親切に言ってきた村人の案内を「金目当て」と断ったり(「地図とコンパスがあるから大丈夫!」→速攻遭難)、
村民が自分の自宅へ泊まるよう申し出するも断ったりと、何度もフラグが立っていて、ホラー映画だったらこれ、「死ぬのは当たり前」の分かりやすすぎるフラグ。
しかも戦時下の出来事ではなく、準備のための実践訓練でそれだけの人数を死なせてしまうという、愚策以外の何物でもない。

さらに、そうした愚かさの責任を取るのが、「自決」といういつもの手段。
これだけの大事故を起こしたからと自決するのが第5連隊の隊長を務めた神田大尉(北大路欣也)と、大隊本部の三國連太郎。
ただでさえ人名軽視なのに、いつもすぐ死ぬ日本兵。
馬鹿か。

画としても、ずっと冬の雪山で吹雪の中彷徨っているだけ。
同じような画が延々続くだけなので、ついつい眠くなる。
おかげで何晩もに渡って見てしまった。
そして36連隊も5連隊も全く同じ格好をしている上、顔が良く見えないフードをかぶっているため、当然ながら見分けがつかないので、見ていてイライラする。

迫力の山岳映画!というよりは「寒そうなのはもうわかった」としか思えず辛い。
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