ゆべし

殺人狂想曲のゆべしのレビュー・感想・評価

殺人狂想曲(1971年製作の映画)
2.5
70年「MASH」と72年「ロンググッドバイ」の間、エリオットグールドが一番カッコ良い時期の主演映画。都市の生活が人間の感情を麻痺させていく様を描く風刺的ブラックコメディ。
エリオットグールド演ずる写真家は皮肉屋で希望も無く、強盗に襲われても無抵抗にボコられ続ける。見かねた親切でポジキャラなアラサー女パッツィーが彼を助け、性格が正反対の二人の交際が始まるが。。物語途中で、突然、え??驚きの無秩序な暴力と死が訪れる。
この映画で描かれるNYの都会はとにかく不条理で暴力と悪意に満ちて、グールド演ずる主人公は無気力、虚無的に痛みを感じずに毎日を生きる事で社会に適応しており、彼のキャラクター観察が風刺的なコメディになっている。かなり不思議なプロットの映画だが、70年代NYの都市生活者の孤独と殺伐を描いた映画といえば「タクシードライバー」と通ずるテーマを感じたし、それをエリオットグールドのブラックコメディで堪能出来る、満足度が高い映画だった。
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