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血を吸うカメラのtubure400のレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
4.2
(去年はほとんど映画という映画を見れなかったので)今年は、Roger EbertのGreat Moviesを一本一本見ようと思って頑張っている。

オープニング・ショットが、1960年の映画とは思えないほど衝撃的で、グロテスクというか、悪趣味で、すげぇや…、という気持ちになる。そういった、「この時代に、こんな悪趣味な…」というのがすごい、という映画なのかな、と思いきや、主人公の、悲しい怪物的な振る舞いといい、下の階の家族(純粋そのもののヘレン、盲目の預言者という趣のお母さん)のキャラクターの立ちっぷりといい、悪趣味というのにとどまらない、現代的な深みというか、graceのようなものがある。

特に、(もうとっくに手遅れではあるんだけれども)ヘレンとの関わりのなかで変わろうとするマークの姿がなんとも言えず悲しくて良い。ラストシーンまでヘレンはマークの本当の姿を知らないんだけれども、知ってもなお、最後の時までマークのもとを離れようとしないのが感動的ではあった(なんで?という感想もありうるけれど、こういった、純粋という名の狂気、みたいな女性キャラクターは時折見かけるものではある)。「僕は恐怖を感じている そしてそれは喜ばしいことだ」ということ。それはそれで良かったじゃん、という気持ちになる。これはたしかにgreat movieだと思った。
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