俺がイメージするフランスは煌びやかでお洒落なシャンゼリゼではなく、腐敗していて陰惨で人の目を気にしながら肥大化する闇には目を瞑る薄暗い世界。ミュウミュウ演じる正義感に溢れた女性警官が権威に楯突き社会から弾かれ最後は(描かれはしないが)殺されるまでのドラマ。どんよりとぬかるんだ人間関係を描き、理不尽で救いのない、社会とはつまり不平等なんだからしょうがないと突き放す、これがフランス映画。

ロリコンがすべてを牛耳る街。子どもたちの親もロリコン経営の工場労働者なので自分の子が犯され殺されても黙って働くしかない地獄のようなシステム。気合入った刑事ぶりではなくしっとりした感じで地味に捜査を続けるミュウミュウ。捜査官としてのプライドは強く射撃テストではまあまあだがいざとなると撃てなかったりするのも良い。パリの追跡の場面で急にボワッセ感が出てくるが子どもへの犯罪とか見えない圧力とか話の内容はおなじみかも。やはり単独捜査で落とし前をつけさせられるミュウミュウ。

仕事に誠実に取り組んでいるだけなのに、真相に触れた途端に足をひっぱられる捜査官のミュウミュウ。「女には向かない」って上司にも同僚にも言われついに地方に左遷させられたものの地方では有力者が揃ってロリコン性犯罪。通勤時も籠バックデニム白スニーカーのミュウミュウが淡々と捜査していくなか、周りの人間たちの態度が波グラフのように変化。見せ場もクライマックスもない本気で地味な作品だけど好き。