イギリス製作のハートウォーミングなヒューマン音楽ドラマ。実在のオペラ歌手ジョゼフ・ロックの脱税逃亡エピソードをモデルに脚色。※英国版は113分だが日本版ブルーレイは105分で主人公の少年期などがカットされている。
リバプールの小さなミュージックホール。プロモーターを務める30歳のミッキーは経営が傾いたホールを立て直そうと、50年代に人気を博しながらも脱税容疑で行方をくらました幻のオペラ歌手ジョゼフ・ロックの復活コンサートを企画。しかし出演したロックが実は偽物だったことが明らかとなり経営は破綻、復活を楽しみにしていた恋人ナンシー（タラ・フィツジェラルド）の母親キャシー（シャーリー・アン・フィールド）を深く失望させてしまう。信用も地位もなくしたミッキーは、本物のロックを探してアイルランドへ旅に出る。。。
閣下殿のおススメで鑑賞。
ハリウッドでは見かけない、ゆったりとファンタジックなハートウォーム映画。二日酔いのダメージ深い心身に沁みわたり浄化された。
アイルランドの廃墟城で仲間と隠遁生活を送っていたロックの様子が、まるで伝説の老兵の様でカッコいい。一方で、母親キャシーとの再会が意外にあっさりしていたり、本筋とは大きくは関係ない“乱暴な歯の治療”や“超深い井戸”のコメディ描写に妙に力が入っていたりと、全体的に緩いノリも本作の個性。良心的で刺激の少ない作風は若い世代には少し物足りないかもしれないが、アイルランドの美しい自然やクライマックスにあふれる多幸感は疲労した心を温め癒してくれるだろう。
※本編に挿入される母親キャシー（シャーリー・アン・フィールド）の若き日のミスコンのシーンは「寄席芸人」(1960)でのシャーリー出演シーンを使用。
