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復讐のダラス/怒りの用心棒のodyssのレビュー・感想・評価

3.3
【ダラスでの大統領暗殺といえば】

BS録画にて。
1969年のマカロニウェスタン。トニーノ・ヴァレリ監督、109分(ネット情報によっては111分とも)。英題は"The Price of Power"(権力の代償)。イタリア語で"Il prezzo del potere"。

この映画、日本では劇場公開されていないそうで、ビデオ時代になってから日本にも出回ったけれど、「怒りの用心棒」以外にもいくつか邦題があるらしい。そもそも、主役は用心棒じゃないんだし。主演をしているジュリアーノ・ジェンマの出るマカロニは「用心棒」で揃えたいという計算の産物なのかな。

南北戦争からあまり経っていない時代のテキサス州ダラスが舞台。
この映画の中では、そのダラスで大統領が狙撃され暗殺される。
というと、当然思い浮かぶのは1963年のケネディ暗殺。
この映画は、1881年に米国で起こったガーフィールド大統領暗殺を下敷きにしているという。ただし場所はワシントンDCだったので、それをダラスに持ってきたのはケネディ暗殺をもふまえた上でのこと。実際、ガーフィールド暗殺は至近距離から短銃でなされているが、この映画では大統領はケネディのように夫人と共にオープンカー(ただし自動車ではなく馬車)に乗っているところをライフルのような銃身の長い銃で狙撃されるという設定になっている。

この映画は、大統領暗殺を含め、北部に怨恨感情を持つ南部の人間が、北部の価値観を支持する人間を暗殺し、南部の支配権を再度獲得しようとするという筋書。

その過程で父親を殺されたビル・ウィラー(ジュリアーノ・ジェンマ)が一度は大統領を救い、大統領が暗殺された後は、友人の黒人が濡れ衣を着せられたのに反発して真犯人を探して・・・

主役のジェンマ以外に、大統領補佐官マクドナルド役でウォレン・ヴァンダースが、事件の黒幕である南部の銀行家ピンカートン役で(ブニュエルの映画によく登場する)レイ・フェルナンドが出ているなど、結構役者が揃っていて、楽しめるようになっている。

魅力的な女優が登場しないのは残念だが、男優は粒ぞろいだから、男たちのドラマとして鑑賞すべき作品かと。
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