ikoan

ミュンヘンのikoanのレビュー・感想・評価

ミュンヘン(2005年製作の映画)
4.1
スピルバーグ監督の問題作。

ミュンヘンオリンピックでの黒い九月によるテロをイスラエルのモサドが報復する話。
ユダヤ人がナチの残党を徹底的に追い詰めた事は有名な話。
だからモサドの要員は信念に支えられた、冷徹で、強靭な精神の持ち主なんだろうと勝手に思っていました。
でも、ここに描かれるモサドの要員は家族もいて、信念も揺らぎ、迷いながら任務を遂行する生身の人間達でした。
黒い九月の側のメンバーもまた、普通の人として描かれています。
こんな普通の人達が国家とか組織とか産まれた地域や民族の違いでいがみ合い、戦争や事件を起こし、お互いに悲劇を産まなければならない。人間て愚かですよね。
ユダヤ系であるスピルバーグはイスラエル側に偏ること無く、公平にこの物語を語っています。
私はそんなスピルバーグの姿勢に素直に敬意をはらいたいと思います。

スピルバーグの演出は流石で、公平なスタンスのまま、充分面白い、見応えある作品に仕上げています。
ハリウッド映画にありがちな類型的なテロリストが出てくるアクション物とは一線を画します。

流石スピルバーグ!
かなりの良作!
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