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怨霊の森のEikeのレビュー・感想・評価

怨霊の森(2006年製作の映画)
3.0
アメリカ製のホラー映画ですがサイコ・キラーが問答無用でバカバカと死体の数を増やしてゆくのを見せるのが「ホラー映画」だと思っている向きの作品ではありません。
かと言って本作が高尚な作品であると言う訳ではもちろんなく(笑)完全なB級ホラー映画です。
しかし、本作にはちゃんと「物語」があります。

それを当たり前と言うなかれ。
最近の映画、何もホラー映画に限った訳ではないですが「シチュエーション」はあっても「物語」など無きに等しい作品も今では珍しくもありません。
CG映像を駆使して、こと見せ場には事欠かないものの、と言うよりただ見せ場を繋ぐためだけにお話(の様なもの)を無理やり用意しているような作品すら、もはや珍しくない気もします。

森の中にポツンと佇む寄宿制の女子学園。
そこに放り込まれた問題児のヘザーは当初から学園を取り囲む森に異様な気配を感じ取ります。
級友たちとも打ち解け、ようやく学園での生活に馴染んだ彼女の周りで一人また一人と女学生が姿を消してゆきます。
学園を統べるトラバース女史や教師たちの行動にも不信感が募ります。
ヘザーの幻覚・幻聴も激しさを増して行くのですがそんなある夜、彼女は学園を巡る過去の不気味な噂を耳にして・・・。

「ホラー映画」ですからお話は他愛もないお話と言えばそれまでです。
ですが、主人公の置かれる状況の丁寧な描写、展開されるミステリとその謎に迫るに従って高まるサスペンスなどがきちんと組み立てられているので関心が途切れることはなく、最後まで楽しめるものになっております。
それに加えてセンスを感じさせる映像が随所に見受けられ、それほどチープさを感じさせません。
クライマックスのCGを利用したスペクタクルも中々に出来が良くってちょっとビックリ。
お話自体が少々古風な展開とあってあえて設定を1960年代に持ってきているのもよく練られたアイデアと言う気がしました。
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