たむ

エピデミック〜伝染病のたむのネタバレレビュー・内容・結末

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ラース・フォン・トリアー監督のレトロスペクティヴ。
ヨーロッパ三部作の真ん中で、明確にホラージャンルで描くメタ映画作品です。
「こうなったら最悪だよな…」と思う結末に、何の意外性もなく転がり落ちていくからこそ、恐ろしいトリアー監督作品の悪意は初期からあった事を実感させられます。
本人も出演しており、シナリオを執筆するプリプロダクションを進めていくと、現実の世界もそのフィクションの影響を受けていき…という筋です。
鈴木光司さんが本作を観ているかは分かりかねますが、『リング』シリーズを一本の長編のしたようなテーマを感じました。
創作という事を極限まで突き詰めるとこういうことになるのだろうな、フィクションが現実を侵食してきます。
これはトリアー監督の最近に至るまで常套手段で『アンチクライスト』のラストも、『キングダムエクソダス』も本作の延長線上にあります。
クライマックスの催眠術からの狂気、発狂は、フィクションが持っている人間を、世界を終わらせる事を表現しているように感じます。
映画で世界が終わるかもしれない、トリアー監督は本気でそんな映画を作り続けているような気がしてくる、真の意味でのホラー映画ですね。
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