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エピデミック〜伝染病のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)
3.3
映画監督のラース・フォン・トリアーと脚本家のニルス・フォルセルが、自分たちを演じ、「エピデミック(伝染病)」という脚本を書き上げるが、現実世界に類似の伝染病が同時進行していたという物語で、トリアー監督の2作目(かつ「ヨーロッパ三部作」の2作目)。
原題/Epidemic (1987)

5日間のパートに分かれ、書き上げられる脚本「エピデミック(伝染病)」の世界と、脚本を書き上げる現実世界が交互に描かれる。

~5日間のパート~
・第1日 ( タイトルなし)
・第2日 「線」…新作のプロット
・第3日 「ドイツ」…ドイツへの旅行
・第4日 「病院」… ニルスの入院
・第5日 「晩餐(アトランティック・シティから来た女たち)」

~現実世界 :第1日~4日~
初日、
5日後に海外旅行から帰国するプロデューサーのクレス(クレス・カスタム・ハンセン)に提出する予定だった、フロッピーディスク内の「警官と娼婦」という脚本が消えてしまい、映画監督のラース(ラース・フォン・トリアー)と脚本家のニルス(ニルス・フォルセル)は、ペストのような「エピデミック(=伝染病)」と題した新しい脚本を書き始める。
3日目、
2人はドイツへ行き、そこで第二次世界大戦中の連合軍によるケルン爆撃について語る友だちのウド・キアー(ウド・キア)に出会ったり…
4日目、
ニールスが病院で腫瘍の手術を受け、解剖学者に会ったりする…。

~新らしい脚本「エピデミック(伝染病)」の世界~
死の伝染病が蔓延した国で、理想に燃える若い医師メスメル(ラース・フォン・トリアー)が、病に冒された人々を救うため、新政府の首相や大臣に任命された病院関係者たちの反対を押しきって、要塞化された病院から汚染地帯へ出ていき、わずか2日の教育で資格を得た黒人の司祭と出会う…。
実は彼自身と彼の医療キットが感染を広げることになるのだが…。

~現実世界:第5日(最終日)~
ラースとニルスは帰国したプロデューサーと夕食をとり、脚本を提出するが、脚本はわずか12ページしかないため、特別ゲストとして催眠術師を呼んでいた。
催眠術師は、連れてきた女性に脚本の世界に入り込ませ、彼女が見た伝染病の蔓延した世界を語らせる…。

"靴の中の小石のような映画"
"WAG TANN"→ワグナーのタンホイザー

モノクロのざらざらとした荒い映像でスタート。
ヨーロッパの不安を伝染病(ウイルス)の蔓延という切り口で、実験的手法を用いて描いている。
理想主義者の行動が理想とは逆の結果を招くという皮肉な現実。
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