このレビューはネタバレを含みます
こういう話はかなり怖い。
ベニーにとっては豚を屠殺する道具で行きずりの女の子を殺すことにも、自分のために死体の処理をしてくれた両親を警察に通報することにも、深い理由なんかはなくて、ただ「なんとなく」なんだと思うととても怖い。
ベニーは部屋中にビデオを収集してたり、レンタルビデオ屋に通ってたり、自分の8ミリカメラで動画撮影とかもしたりするいわゆるオタクな男の子で、豚の屠殺映像みたいな残酷なものに魅了されているんだけど、こういうのを「恐ろしい現代の若者」みたいな安っぽい言葉で語りたくはないな……と思う。まさに「感情の氷河化」という感じがする。でもエジプトに行ったらあんなに楽しそうに笑うんだよね……。
お父さんの"Ich liebe dich."が今となってはとてもつらい。
『セブンス・コンチネント』のときも思ったけれど、映画でテレビの砂嵐とかビデオの巻戻しとかがあると、映画館で見たときと家のモニターで見たときで印象が変わるんだろうなあ。全体的に映像として演出がすごい。あとベニーの机のそばに飾られていたミッキーのお面がなんともいえず不気味だった。