このレビューはネタバレを含みます
サイコ少年がなんとなく人を殺して両親が頑張って隠蔽しようとするも、逆になんとなく密告されて終わる話
初見はなんじゃこりゃ、『異邦人』みたいなものか?だったけど途中でやたらとテレビを垂れ流すカットが入るので、映像と人間の関係がどうこうという話なのかな……ぼんやりとした感触はあった
DVDに同梱のハネケ監督のインタビューを観てなるほど。要するに映像を現実と混同する危険や恐怖を描いてる、要するに「ゲーム脳」みたいな話なんですね。豚を殺害する映像を巻き戻したりスロー再生したりする行為が現実をコントロールしている錯覚を示唆しているみたいなもんですかね……
罪を犯すということはふつう悪意によるものでなくもっと複雑で漠然とした偶然的なものだという話もなるほどなーとなった
実際、女の子を殺すシーンはすごかったです
なんの前振りもなく当然のように撃つし、特にリロードのために何度もモタモタ机とを往復する様子がテレビ画面を通じて映されるところが印象的
あとお母さんとのエジプト旅行中、ずっと画面から不穏な感じが漂ってるのもなかなか胃にくるものがありました
面白いとかそういう類の映画じゃないけど、要素が削りに削られたこの抽象的な感じは間違いなく好きですね…… ファニーゲームが好きなので、その感じのハネケ監督が見れたのは嬉しかったです
なんか面白いわけじゃないしやたらと長回しも多いから眠くなるんだけど観たくなるんだよな……ハネケ作品……
あとビデオみたいなオブジェクトがタイトルというか、主題として扱われてる感じの作品が好きなんだというのは自覚できました 面白そうじゃないですか。ベニーズ・ビデオって……