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やがて復讐という名の雨のMOCOのレビュー・感想・評価

やがて復讐という名の雨(2007年製作の映画)
3.0
「被害者の家族はどうするんです?」(ルイ)
「先ずは、警察の体面だ」(上司リングヴァルド)
「奴は女5人を殺した殺人鬼だぞ。たとえだれの息子であろうと犯罪者を逮捕するのが我々の仕事だろう!」
「証言をとる前に殺されたんだ、真犯人であるかは証明出来ない」
「DNAがあるだろう」
「試験に使ったDNAは運悪く紛失して証明はできない。
 君が真実にこだわるのなら刑務所に行く覚悟をしておくことだ!」


 ルイ刑事は酩酊状態で乗り込んだバスの運転手に銃を突き付けバスジャックを行ってしまいます。
 ルイは過去の実績から特別な計らいでバス会社・運転手・乗客に警察から補償金が支払われ事件は揉み消されます。ルイは犯罪捜査班を外れ夜勤班への移動が決定し、拳銃の所持を禁じられます。
 ルイは交通事故で妻が植物人間になり同時に娘を失いアルコールを手放せないのです。ルイの後悔は交通事故が同僚のマリーと情事を重ねている時に起こったことだったのです。

 帰宅したルイは夜勤班に移動が決まったことを知らない相方のジョルジュから連絡を受け殺しがあった現場に向かいます。
 管内では被害者が自宅でレイプ後に殺害される連続殺人事件が起きていたのですが犯人の侵入経路がわからず、ルイは被害者が犯人を招き入れていると推測しているのです。
 現場に急行した二人は検死が行われた現場を撮影するジャンボから検死の結果を聞きます。
 現場検証を終えたルイは自分が転属することを告げ、コバァルスキが新しい相方になるとジョルジュに告げます。

 現場に居た猫の行く末を気にしていたルイは地下駐車場の警察車両の中に忘れられた猫の鳴き声を聴き、車内に入り込んだとき3人の人影に気がつきます。
 人影はコバァルスキとロックとジャンボ。ジャンボは現場撮影時に金目の物を持ち出して、2人に横流しをして小遣い稼ぎをしているのです。
 ルイは黙って猫を連れ帰ります。

 25年前殺人鬼スブラに両親を殺されているジュスティーヌは無期懲役になっているスブラが模範囚となり仮釈放になることに憤りと不安を覚えスブラに両親の写真と積年の恨みを込めた手紙を出してしまいます。

 ルイは夜勤班になった後も密かに捜査を継続し、被害者の共通点を探し続けます。
 そしてジョルジュと会って情報交換をしている時、5人目の犠牲者が出た連絡が入ります。
 ジョルジュに同行して現場入りしたルイはコバァルスキに立入を拒まれ小競り合いになり暴行をはたらき起訴されるのですが、アルコール検査をおこなったマリーが「検査は陰性だった」と虚偽報告をしてくれたことでクビを免れます。

 ルイはコバァルスキの棚から報告書をかすめ取ったことで、コバァルスキとロックに自宅(常宿のホテル)に押し入られ暴行され、猫が巻き込まれて骨折してしまいます。
 ルイは猫を連れていった病院で高級ペットホテルのポスターを目にします。
 連続殺人事件の被害者はペットを飼っていた・・・。同じポスターを事件の現場で見た記憶があるルイは犯人はこのホテルの関係者ではないかと推測します。

 ジュスティーヌは25年前の新聞の報道写真から両親を殺害したスブラを逮捕したルイを見つけ、自宅を訪ねて事件当時の状況を聴き出し益々スブラに恐怖を感じます。ジュスティーヌの心には拭いきれない恐怖が残っているのです。

 猫を連れてペットホテルに出向いたルイは、送迎係のマチアスを見て直感でタバコの吸い殻を持ち帰り、犯罪現場に残されたDNAとの一致検査を依頼します。

 先走るルイはDNA検査の結果が待てずにジョルジュと2人でマチアス逮捕に向かうのですが抵抗に合い、ジョルジュはマチアスの放った番犬に喉を噛みきられ死亡、ルイは首を絞められながらもマチアスを射殺します。

 マチアスの父親は情報局副局長昇進を控えた警察上層部の人間だったことから、一件は上層部に伝わる以前に揉み消しとなります。
 警察内部の失態を伏せるために、マチアスが起こした事件は公になることはなく、事件の全てはジョルジュが負うものとなり、厄介なことを起こしたルイは給料の7割を保証され退職する条件が提示されます。
 ルイの様々な違反行為から死者が出ていることから、逆らえば投獄も覚悟しろといわれます。決めてになるDNAは運悪く紛失したと・・・。

 投獄されれば妻の面倒を診る事が出来なくなってしまう弱味につけこんだ非情な条件をルイは飲むしかなかったのです。

 ルイは上官の目の届かないところでマリーの力を借りてマチアスの遺体からDNAを採取しようとするのですがコバァルスキとロックに妨害され拘束されてしまいます。

 再びルイの家を訪ねたジュスティーヌは帰って来ないルイのために家賃を払い猫を連れ帰り住所を記した手紙を残します。
 ジュスティーヌにスブラが本当に更正したのか知りたいと言われたルイは「更正したから出所するんだよ」と答える傍らでマリーにスブラの居場所を調べてもらいサン・ボームの修道院にいることを知ります。

 スブラはジュスティーヌの家に忍び込みジュスティーヌの写真に針を刺す嫌がらせをし、ジュスティーヌは恐怖のどん底に叩き込まれます。

 知らせを受けたルイはジュスティーヌを彼女の妹に預け、ジョルジュの家(車庫)でジョルジュの宝物の拳銃MR72を手に入れマリーに遺書を残します。

 窃盗・揉み消し・裏取引・脅迫・・・警察内部でそれが当たり前の時代。
 正義を貫くことができず手帳を取り上げられ自殺を決めたルイは頼りにしていたマリーと頼りにしてくれる若いジュスティーヌのこれからのためにこの世に必要の無い2人を道連れにしていきます。

 今何が起こっているのか?ルイの後を追い目の前で現場を見ていくマリーと違い、ジュスティーヌは何も知らないまま別れた彼の子供を産みます。
 死んでいくルイと産まれてくるルイと名付けられた赤ちゃん・・・。


 この映画も部分的にしか記憶がなく結末は全く記憶にありませんでした。
『「あるいは裏切りという名の犬」に続く実話に基づいたハードボイルドアクションの傑作』とパッケージにはあるのですが「あるいは裏切りという名の犬」ほどのアクションも、ハードボイルド感もないのが残念です。

 連続殺人犯を突き止め殺害に至り、その父親が警察上層部の者で事件の揉み消しが入るところまではスリリングな展開なのですが、エンディングが慌ただしく哀愁のある映画と言えば聞こえが良いのですが、警察組織に立ち向かっていく爽快な話では無いことが原因なのでしょう。
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