mh

自由への闘いのmhのネタバレレビュー・内容・結末

自由への闘い(1943年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

完全に埋もれちゃってるけど反戦映画のマスターピース。
どのくらいマスターピースかというとチャップリンの「独裁者」に次ぐレベル。だと思う。ほんとに。
・独創的なストーリー。
・魅力的なキャラ造形。
・「独裁者」を彷彿とさせる、かっこいい長いセリフがある。
序盤はホームドラマで中盤以降は法廷ものとモチーフが変わるのも個人的な大好物。なにからなにまでとにかくすごい。
「毒親」とか「過干渉」とか「共依存」とかそういう言葉がなかった時代に、マザコンのこどおじキャラとか、どうやったら生み出せんだろうね。
おかあさんのほうもただのヒールじゃなくって、息子を思ってこその行動を取っている。この一貫性が素晴らしい。
猫にミルクをあげるくだりの、母親と息子の反応の違いがテクニカルだけどいいんだよね。
まあ、脚本は「駅馬車」のダドリー・ニコルズだし、監督は「大いなる幻影」のジャン・ルノワールなのでうまいのは当然なんだけど、ここまでやられると話が別。
わたしは内側が強いけど外側は弱い。でも、彼らは逆でした。
こんなわかりやすい二面性の説明は聞いたことなかった。
なによりいちばんすごいのは、他国に占領されるとどうなるかを、具体的にして見せたこと。
そこにいるのはひとのいい司令官と、命令をこなしている兵士たち。極悪ナチ軍団なんてどこにもいないのだ。
太めのこどおじに惹かれるヒロインとか、普通の映画だったらいやいやそれはねーだろーよで切り捨てるんだけど、この映画におけるそのウソはなにより素晴らしいものに思えるから不思議。
そう、弱っちいやつが実はすごい映画にもなってて、エンタメ的にもまったく隙がない。
この映画も視聴困難なんですけど、見られる機会があったらぜひとも!
ひさびさに興奮した。めちゃ面白い!
mh

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