「犬姫様」のタイトルとスチール写真で勝手に期待していたストーリーだけど、犬度低し、つか犬要素ほぼ無し！いきなり説明もなしに水島と祝言あげてる2匹の犬連れの花柳小菊さん。アイヌの首領から盗まれた貴重な2枚の皿をめぐってのあーだこーだの犬じゃなくて皿映画。月形はじめ流しのミュージシャンらが実は正義の味方。チーム犬姫（タカギさん命名）白い天狗装束の小菊姫ともうひとりの三味線姉さんの女剣劇でうっとりカッコよし。デカい桐の箱から出てきた生身の女人形と夜の戯れしてる変態・田沼意次＝江川宇礼雄の手先はまさかの冬木京三さんだったりアクションとどんでんサスペンスもスピーディ。実は仇同士の水島と小菊さん。「私の満月丸とそなたの残月丸が…」って隠語なの？箱に入った満月丸と残月丸を投げたり落としたり激しい争奪戦してたけど割れないかと冷や冷やしました。

水島が犬と結婚する話かと思ってたら犬好きの人とってことだし、犬じゃなくて皿が重要な話だった。笠や籠やら明暗ってなに？な雑貨色々にかぶさるアイヌの〜満月丸と残月丸という皿が〜時は天明〜の一方的なあらすじが良い。キツネ美女な美弥殿の白装束今年イチファッショナブル、柄物の防災頭巾みたいなのもかっこよかった。いつもの良いこと言いたいキャラ月形の琵琶に木魚の合奏、冬木京三さんの役なんだろ見逃したらヤダなと思ってたら田沼のまわしもので是好のとこに乗り込んだりとかなりの活躍。宇礼雄に献上されて人形プレイ、日本髪に手拭いばさりの中ひたすらキリッと水島、ラスト皿抱えての小走りも速い速い。月形に追われてバレバレの虚無僧プレイも良かったが、熊っぽいムクムクの黒犬2匹かわいいのでもっと見たかった。

「犬姫様」
アイヌの貴重な皿「満月丸」と「残月丸」が盗み出され、田沼意次に献上される。それを奪い返そうとする反田沼の一派、水島、花柳、月形ら。皿がマクガフィンだが、皿が誰の手に渡ったかわかりやすい描き方。皿の箱を小脇に抱えて片手で刀を振るう。皿がサッカーボールのように投げられ、思わぬ人物が奪い取る。清順の「木乃伊の恋」のようだ。花柳も鞭を使う立ち回りでさっそうとしている。助監督は曲谷守平。
「侠艶小判鮫（正・続）」
タイトル登録がないので、ここに記す。
中川58年、新東宝作品。脚本の藤島二郎、石川義寛（助監督）が面白く、アラカン、宇治みさ子の立ち回りに酔う。前編ではアラカンと悪役の丹波との対決が二回あり、両者の動きが決まっている。江川の柳沢の悪役ぶりも実に憎々し気で、その柳沢を父の仇と狙う宇治は舞台役者で小太刀の名手。その小太刀を客席から投げ返す丹波。アラカンは片目でアイパッチをしているのだが、後編途中からアイパッチなしになる。連判状がマクガフィン、その争奪戦。隠し扉や落とし穴で剣の板が両側から迫って来る仕掛け、長屋などの黒澤治安の美術、西本正のカメラと充実したスタッフ。役者にはそれぞれ見せ場を用意しており、江川の悪役ぶりが、上意を無視して、どこまでもワルのもよろしい。ほぼ全編がアクションで話をつないでいる構成。