【背骨をシャリにして乗ってくる、エビちゃん】
Netflixで珍しく、4DXの元祖、ハッタリ興行師ウィリアム・キャッスルの映画が配信されており、うほほと見てみた。1959年もの。
これ、アイデアはごっつオモロイ!でも映画としちゃごっつトホホ!
やっぱり、映画館に用意されたギミックに、心地よく騙されながらワイワイ楽しむイベント映画でありましょう。
恐怖を研究する医師が、恐怖が極まると背中に異形が現れることを発見する。
通常は、叫んでそれを発散するが、叫べない人はそれが、実体化してしまうのでは?との仮説から、異常な実験にのめり込むが…。
で、この異形、カワイイ(笑)。
このゴム人形、欲しい。
ウィリアム・キャッスルは徹底して凡庸な演出を貫き、基本はギャグ映画として楽しめます。
例えば、ヴィンセント・プライスの独りLSDトリップなど、今ならCGで幻想映像バンバン出すところですが一切なく、酔っぱらいおじさんがヨタッているとしか見えません。
でも、人間心理のコワイところを意外とうまく、節々で突いてきて、アイデアは本当、面白い。いまリメイクしてもいいと思った。
“ティングラー(ぞくぞく感)の母”に仕立てられてしまう、映画館主の妻さんが、顔で選ばれたのでしょうが、怖く哀れではまり役。
ヒッチコック『裏窓』でミス・ロンリーハーツを演じた女優さんだと後から知って、うんうんと納得してしまいました。
あ、音楽がこの前年につくられた『めまい』の全くのパクリ!そうとしか聞こえない。いやー堂々としたもんだと感心しちゃった。
ウィリアム・キャッスル作品、まともに見ていなかったので、これを機に追いかけてみようか、と思いました。楽しい楽しい。
<2021.6.22記>