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アンドリューNDR114のユウのレビュー・感想・評価

アンドリューNDR114(1999年製作の映画)
4.6
アイザック・アシモフの名作、バイセンテニアルマンの映画版。
強化された人間と人間的な振る舞いの機械、それらの境界について扱ったSF作品は数多あるが、その中でも最も最初期に分類される作品だ。
ロビン・ウイリアムス演じる主人公はNDR-114というロボット。
彼は彼を購入した資産家のマーティン家において、アンドロイドをアンドリューと聞き間違えられ、そう名付けられる。
彼は新し物好きな旦那様(マスター)と、今一つ家事ロボットの導入に不安ありげなご夫人(ミセス)、そしてロボット嫌いの長女(ミス)とアンドリューに特に好意的な次女(リトルミス)という板挟みの中で、己の使命である家事の遂行と家庭の平穏のために奮闘する。
(ちなみにミスのロボット嫌いぶりはアシモフ作品のメインキャラクターの中でトップレベルだ。)

だが、彼はちょっとした事故から、リトルミスの宝物である馬のミニチュアを壊してしまい、精神的に傷つけてしまう。
ロボット三原則を意図せず、また不完全な形で破ってしまった彼の陽電子頭脳(アシモフ作品のCPUの事)は異常を来たす。
そしてその異常は彼に個性を与える。
彼はそのリトルミスの精神的な傷を癒そうと、流木を削って独創的なミニチュアを作り始める。
その様子にいたく感心したマスター、マーティンは、アンドリューを伴って、製造元であるU.S.ロボット社(以下USR)を訪れる。
曰く、「お宅の製品はみんなこういう機能があるのか?」と。
だが、USRからの回答は、アンドリューは不良品であるとのものだった。
新品との交換を申し出るUSRだが、マーティンは断り、アンドリューの独創性を育てる為に彼に教育を施し始める。
いつしかアンドリューは超一流のインテリア作家になる。そして、マスターとミセスは歳老い、娘達はすっかり大人になっていた。

そして年頃になったリトルミスには縁談が来る。だが、彼女はアンドリューに対し恋心を抱き、決心がつけられずにいた。
彼女は、アンドリューに恋愛相談をする。「どうしても叶わない恋をしている、だから縁談の相手がいい人だとわかっていても結婚できない。
好きな人はずっと一緒にいてくれてわがままを言っても全て答えてくれる完璧な理想の人である。
でもどうしたって無理なの。」
と。しかし、アンドリューは自身を物に分類している為、全く察さない。「リトルミスにそんなに一緒にいる方がいらっしゃるとは」とすっとぼけた答えを返す。
わがままを言っても、という下りでは「リトルミスがわがままを?」と心底意外そうに返し、わがままとすら思っていないリアクションを示す。
その上で「その人が好きならきちんと気持ちを伝えるべきです。きっとお相手は気づいていないだけで無理なことなんてありません」とアドバイスをする始末。
ロボットと人の掛け合いが噛み合っていないがために生まれる切なさが、視聴者の心を揺さぶるシーン。
そして、縁談を受ける覚悟をするリトルミス。
アンドリューは初めて、ミスターに対してわがままを言い、服を着る。
正装をしてリトルミスの結婚式に参加するために。そして表情のアップグレードを受け、より人間らしい笑顔を手に入れて、彼女の門出を祝う。

と、長々書いたがここまでは序章。なんせ、原題はバイセンテニアルマン(200周年の男)ですから。
ちなみに、こういった事件があったためなのか他の作品でのUSRはロボットの販売をやめ、リースのみにしている。
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